手術・術式

手術についてAbout surgery

手術をお考えの方に

頚や腰のトラブルで痛みや痺れ等、様々な症状が表れますが、初期の段階では手術以外の治療(保存治療、対症療法)を選択するのが一般的です。数か月~半年間、保存治療や対症治療(リハビリ、ブロック注射、鍼灸等)を行っても改善がない場合には、手術が選択肢の一つに入って来ます。

当院は、この段階の方を主な対象とした、頚・腰のみに特化した手術専門の病院です。手術というものは、数ある治療法の中の一つの選択肢であり、プラス面、マイナス面があります。これらを天秤にかけ、患者さんと医師間で相談し、最終的には手術を受ける患者さん自身が選択するものではないかと思っています。

プラス面は、症状の原因を直接解除できる点であり、これは、他のリハビリ、ブロック注射等の保存療法では出来ない事です。マイナス面は、やはり手術の危険性であります。1%以下のリスクはどうしても解決できておりません。

脊椎手術の意味

神経の圧迫が発生

01.神経の圧迫が発生

体質(遺伝子)や生活様式、外傷などが原因になり椎間板(軟骨)やじん帯、骨などが変形して神経が圧迫されてきます。神経が圧迫されることにより痛みやしびれなどの症状が出てきます。血流も関係しており、神経が圧迫されても症状を発生しない場合もあります。

神経周囲の環境整備

02.神経周囲の環境整備(手術)

椎間板(軟骨)やじん帯、骨などによる圧迫がなくなると、神経が自己回復力により元へ戻ろうとします。手術の目的は圧迫をとり除くことにより、神経が自己回復しやすい環境を作ることです。つぶされた神経を膨らませることはできません。

手術後がスタート

03.手術後がスタート

手術により神経に対する圧迫が取り除かれ良い環境ができると、そこから神経自身の自己修復が始まります。神経の自己回復に従って症状も改善していきますが、一時的に悪化、改善を繰り返すこともあります。

神経回復の限界

04.神経回復の限界

神経は、2年間かけて徐々に回復していき、術後2年経つと症状が固定されるようです。その時点で、症状がほぼ回復する場合もありますが、あまり回復せず症状が残ったまま固定される場合もあり、神経の回復力には個人差があります。

術式についてAbout method

首(頸椎)の手術

椎弓形成術

頚椎椎弓形成術

首の後ろから5センチ前後切開して脊髄の入っているトンネルの天井を持ち上げます。これによりトンネルを拡げ脊髄の圧迫を解除します。主にチタンインプラントを使います。頚椎後縦靱帯骨化症・頚椎症性脊髄症・頚部脊柱管狭窄症などに用いられます。

前方固定術

頚椎前方固定術

首の前横(右あるいは左)から数センチ横切開にて椎体椎間板に到達し前方から神経圧迫を解除して、つぶれた椎間板を持ち上げ間に物(チタンインプラントが多い)を挟みます。はさんだ物が動かないと固定術、動くと人工椎間板といいます。

頚椎人工椎間板置換術

頚椎人工椎間板置換術

これは頚椎前方固定術に似ていますが適応できる方は限られます。頚椎椎間板ヘルニアが良い適応でしょう。固定術との違いは動きを残せる点、上下椎間板に優しいのが利点です。

後方固定術

頚椎後方固定術

首の後ろから骨にスクリューを入れて固定する方法です。スクリューを入れる操作が危険を伴う為、当院では安全に挿入できる術中CT-ナビゲーション、更にドリル先端まで確認できるドリルシステムも追加装備しています。必要があれば、除圧術も併用されます。

頚椎後方固定術

頚椎後方椎間孔除圧術

主として頚椎症性神経根症・頚椎椎間板ヘルニアが適応されます。従来の切開直視化手術が多く行われますが、顕微鏡を用いたり、最近では内視鏡を用いた手術も行われるようになってきました。症例により選択されますが、当院では、すべての方法に対応しております。

内視鏡を用いると首後方約1センチ切開し、ドリルにて神経根の除圧を行います。入院期間が短く1~3日でも可能です。直視下、顕微鏡下では入院3~5日間くらいです。

MacF

顕微鏡下頚椎前方椎間孔拡大術(MacF)

この方法も主に頚椎症性神経根症・頚椎椎間板ヘルニアに適応されます。固定術や人工椎間板置換術との違いはインプラントを使わない所です。入院期間は3〜5日ほどです。

 

環軸椎固定術

これは難度の高い手技ですが、当院では術中CTとエアドリル先端まで確認できるナビゲーションを装備しているため、
今まで大きなトラブルなく施行できています。

頚椎後縦靭帯骨化浮上術

前方固定術の1つですが後縦靭帯骨化症の骨化巣を前方よりまとめて引っ込める方法です。

頚椎骨切り術

頚椎骨切り術

いわゆる首下がり症候群の重症例に行います。難易度の高い手術であり高度な技術が要求されます。当院でも施行しています。

胸椎の手術

黄色靭帯切除術

文字通り黄色靭帯骨化症に対する手技です。時に後方固定を併用する事があります。

後方固定術

後方固定術

背中の後ろから切開しボルトを使って固定します。破裂骨折や脊柱変形などに適応されます。

胸椎骨切り術

前屈みになった姿勢を元に戻すために行うものです。当院でも行いますが、難易度の高い手術であり手術件数は限られます。

前方後方固定術

圧迫骨折よりも不安定な破裂骨折では、脊柱管(神経トンネル)の壁が壊されており下半身麻痺の危険が高くなります。後方固定のみで不十分と考えられる状態には前方固定の追加が行われます。同じ入院中に2回に分けて行われることが多いです。

胸椎後縱靭帯骨化前方浮上術

胸椎後縱靭帯骨化前方浮上術

胸椎部の後縦靱帯骨化症において、突出した骨化巣を引っ込めて脊髄圧迫を軽減する方法です。難易度の高い手術であり、当院では術中CTナビゲーション及び先端までナビゲーション可能なエアドリルを用いて行っております。

腰椎の手術

腰椎除圧術

神経の圧迫が発生した部位を切除することにより、神経の圧迫を解除するものです。従来のオーソドックスな直視化、顕微鏡下に加え症例によっては内視鏡下にて可能です。インプラントは使用しません。5日前後の入院です。

腰椎固定術

腰椎固定術

これは色々な方法があります。主に後方固定術ですが前方後方同時固定もあります。当院ではすべての方法が可能ですが症例によって選択しています。チタン製のスクリューやケージ(椎間板内に設置するインプラント)を使用します。

腰椎椎間板へルニア摘出術

※直視下、顕微鏡下、内視鏡下すべてに対応可能

従来の切開によるオーソドックスな手術方法を主な選択肢としています。充分な視野を確保することにより、安全な手術を目指しております。この方法が術者は一番やり易い方法ですが、経験を充分に積んだ術者でさえこの方法でも麻痺が起きたり合併症が発生することもあります。ヘルニアの手術はほとんどが短時間で終わる安全な手術ですが、中には非常に難しい手術になることがあり要注意です。皮膚切開は5cm前後。顕微鏡を用いることもあります。退院は術後3~5日間にて可能です。

内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア手術(FESS/MED)

1〜2cmの皮膚切開により、直径8mmの内視鏡を体内に挿入し、椎間板ヘルニアを摘出するものです。上記方法よりも皮膚切開は小さいものですが、病巣部位での操作は難易度が上がります。当院では、症例を選んで行っています。

腰椎前後方同時椎体間固定術(XLIF)

腰椎前後方同時椎体間固定術(XLIF)

腰椎椎体間固定術の一つであり、神経を直接除圧するのではなく、潰れた椎間板の高さを復元することにより、間接的に神経の通り道を広げる方法です。腰の横からと後方からの操作が必要となります。

腰椎椎体形成術

腰椎椎体形成術(BKP/ハイドロキシアパタイト/リン酸カルシウムセメント)

圧迫骨折に対して、骨内に補強剤を挿入する方法です。これだけで不十分な場合、後方ボルト固定を追加する事があります。

腰椎骨切り術

胸椎〜腰椎に及ぶ前傾あるいは側弯などの姿勢の変形に対し、それを矯正固定するための手術です。主に第4腰椎の形を変えるために骨切りを行います。胸椎から腰椎・骨盤までの固定を行います。姿勢は劇的に変化しますが、約1ヶ月の入院・リハビリが必要となります。

腰椎再手術

以前に腰椎除圧術を受けても年齢的な変化は生涯続いていき再び神経圧迫が発生する事があります。その時は固定術の追加を必要とする事も少なくありません。再手術の方が難易度は高くなります。当院や他病院で過去に手術を受けられた方の再手術例も多く行っています。

ヘルニコア

ヘルニアを起こしている椎間板の髄核内に直接酵素を注射で注入することによって、ヘルニアによる神経の圧迫を弱める方法です。